ヒカリくんは一度手合わせした相手の得意技を、剣技のみならず回復技までラーニングしてしまうような特技の持ち主なので、楽器とか舞踊とかそういう方面にもそれが発揮されると良いなと思う。
ただ、試合で相手の得意技をモノにできるのはヒカリくんが優れた武人であり日頃の稽古の賜物でもあるので、門外漢な分野である楽器とか舞踊に関しては「分かるし動けるけどそれ以上はできない」って感じなのかなと。
で、長年仕えてくれたツキさんは琵琶の名手だったので持ち前のラーニングと時折手ほどきを受けたりしていて、ヒカリくん曰く「多少は心得たつもりだが、楽器はやはり難しくてな。この曲しか弾けぬのだ」って感じの腕前はあったりするのかなと。
唯一弾けるク国伝統の恋の歌なんかをアグネアに弾き語りするヒカリくんに酔いしれるアグネアというシチュは、普段の明るく元気で光に満ち溢れた雰囲気とはまた打って変わって、しっとり落ち着いて染み入るような、そんなヒカアグの新たな一面を垣間見えるみたいで良いなと思ったり。
何で恋の歌をツキさんが教えてくれたのか、というところにそっと思いを馳せるのもまた一興かな。
『なぜこの歌を選んだのだ?』
『いずれ貴方様にこの歌を贈りたくなるような大切な方ができたときのため、ですよ』
「……と、ツキは言っていたが、彼女は慧眼だった。おかげでそなたに俺の想いを歌に乗せて伝えられる。感謝せねばなるまい」
「……うん、本当にね。素敵な歌、ありがとう」