ゾットの塔で打ち明けはしたものの、セシルの顔はおろか、ローザの顔すらもまともに見ることなく「君にそばにいてほしかったんだ」としか言えなかった辺りが哀愁を誘うというか、セシルと対照的ですよね…。
それでも私はゾットの塔でのあのシーンがFF4で一番好きなんですけど。
その後、ローザへの想いがどうなったかというと、個人的にはカインが「ようやく自分の心を取り戻すことができた」と言っていたあの一連のイベントシーン辺りでは、ある程度昇華はされてたんじゃないかと思うんですよね。完全に吹っ切れた、とは言いませんけど。
月に向かったフースーヤとゴル兄を追って、最後の決戦に赴こう、ってなったときにセシルはローザとリディアを置いていこうとしますよね。あそこで密航してまでついてきたローザが「貴方のそばにいられるなら、どうなっても…!」とセシルにどうしても側を離れたくないと訴えかけるのに対して、カインは「仕方ないな、セシル」って言うんですよね。
どうでもいいけど、4TAのオープニングでは同じくバロン城の危機に対してローザを逃がそうとするセシルですが、そのときは「君だけでも生き残るんだ。セオドアのために!」と言い、ローザもそれを了承する辺りが、あの頃とは変わったんだなあという気になります。
話が逸れたけど、セシルは元より、カインも基本的にはローザを危険なことに巻き込みたくないと考えているフシがあることはミストでのセシルとのやり取りで示唆されています。これからどんどん戦火を拡大していくであろうバロンに、ローザをこのまま残しておきたくないという気持ちからか「ローザも救い出さんと」と言いますし、DS版では「ローザまで妙なことに巻き込むわけにはいかん」という旨の心情補完もされてます。
そのカインが、生きて帰れる保証もない月へ向かうことをどうしても譲らないローザを見て、「仕方ないなセシル」と同行を了承するのは、自分もただローザのそばにいたいとか自分が守ってみせるとかそういう感情からは出ないセリフかなと思うんですよね。第一、この段階では自分にそんな資格がないことはわかってるはずだし。
どうしてもセシルのそばにいて戦いたい、助けたい、力になりたいという強い想いを間近で見て、ある種吹っ切れたんじゃないのかなあと。わかってたけど、やはりなみたいな。
その割に4TAで以下略なことになるわけですけど、そこはそれ、そもそもカインにとっては忘れたい、葬り去りたい想いの一つになってしまったのでね…。
FF4ってリメイクの度に割とバロン組に対して補完や改変が結構入るし、その度になるほどなーって思ってますけど、DS版で色々改変があった中でも、この魔導船の密航シーンでローザのセリフが改変されたことは何でや…って未だに思ってます。そりゃ、ローザ様が回復してくれなきゃ月に降りた瞬間から壊滅しますけどさ…。