FF4TAカイン編で改めて思ったこと

バロン城での一度目の戦いで闇カインが「オレがオレであるためにお前を倒す!」ということを言って謎男を張り倒した後、闇カインは「お前もそれを望んでいるのだろう!? セシルの死を…そして、ローザをな!」と高らかに叫び、その言葉を契機に謎男は捨てたはずの竜騎士としての己を取り戻し(というより、多分ここで結局自分は自分であり、コイツを叩きのめして目の前から消したところで過去の全てが浄化されるわけでも、葬られるわけでもないことを悟ったと思われる)、「私は…お前を受け入れる!」「私はお前を否定しない。なぜならお前も俺自身だからだ」に続くんですけどね。

これを言葉通りそのまま受け取ると、闇カインの望んでいたこと=セシルの死とローザになるわけなんですが、FF4本編から十数年も経つというのに、心の底では未だにそれを望んでいたことになってしまうんですよね。
ローザの気持ちはどうなんのよ、というツッコミを禁じえない点はとりあえず置いといて、カインにとってセシルは憎き恋敵であると同時に親友でライバルで、一緒にいて心地良い関係だったのは間違いないと思うんですよ。
FF4オープニングからミストで別れるまでの、プレイ時間にして一時間足らずの間に、カインは自分も罰せられるかもしれないのに王に意見するセシルを真っ先に庇い、自らの所業と父親代わりの王への不信に悩むセシルの背中を何度も押して励ましてきたわけですよ。
ただ憎いだけの相手にはできないことだと思います。みんな忘れがちだけど。恋敵としては憎い、けど敵わない、自ら選んだ竜騎士としての道は性に合っているものの、セシル率いる赤い翼に主力は取って代わられ、いずれ解散の憂き目に遭うのも時間の問題、という公私ともに割と複雑な状況の中でも「セシルさんとカインさんが組めば怖いもんなしですよ」と城の兵士に太鼓判を押されるほどの実力と阿吽の呼吸を互いに持ち合わせている。

ただ一点、ローザのことさえ除けば。

個人的な解釈ですが、カインの不幸は「セシルを好きなローザ」を好きになってしまったことだと思うんですよね。もう最初から勝ち目もクソもないというか。

それはさておき。
じゃあ、十数年もの間、山ごもりしつつもまだ未練がましくローザに恋心を抱いたままだったのか、というとそういうわけではないのかな、と最近改めてカイン編の闇カインと謎男の言動を見てて思いました。

闇カインは言わば、FF4本編前からカイン本人に否定され続けた負の側面。
「セシルさえいなければ俺にもワンチャン(※意訳)」
「親友との関係を壊すようなマネなど、誇り高き竜騎士のやることではない」
こうした自分の中でのやり取りはFF4本編を経て昇華されるかと思いきや、この葛藤に付け込まれて敵の洗脳を受け実際に親友に槍を向けた挙句、世界を危機に陥れてしまうわけですから、発端が自分の中に芽生えた醜い感情であることを思えば、大切な幼馴染や部下達に対する後悔、その他諸々を以前よりもっと強く消し去りたくなるのも無理はないと思うんですよね。

闇カインは、カイン自身が「お前は俺ではない」と否定し続けた負の側面。それの発端が「セシルさえいなければ、ローザが俺に振り向いてくれたかもしれなかった」という感情。
だから、闇カインは自分を否定してくる自分を叩きのめしたものの、自分は結局何者としてあるべきか、この後どうするかと思っていたところでポロムと再会を果たし、助けを求める彼女に対して「オレはバロンを捨てた」と背を向けたところで「貴方は自分の心に嘘をついています」とキッパリ指摘されてしまいます。これも多分、ポロムから見たこれまでのカインはずっとそんな風に見えてたんでしょうね。幼心にも「どうしてこの人は、自分に嘘をつき続けて、試練の山にいるのか」と。
それを聞いた闇カインは確かにそうだ、オレ自身は自分に否定され続け、偽りの自分を演じる自分をずっと中から見てきた。その自分を倒し、自由を得た今やりたいことは何だ。否定され続けた自身を取り戻す、すなわち「オレがオレであるために」成すべきことをしようと動き始めます。

なので、未だにローザに未練があるだのどうのこうのというより、カイン自身が己の弱さとして否定してきたものの象徴がローザへの恋心とセシルへの嫉妬心であり、わかりやすく凝縮されたのが闇カインなのかなあと。

けど、そうは言っても過去は消せません。起こしてしまった事件はもちろん、過去の自分が抱いてきた感情、それが引き起こしたもの、その末に辿り着いた現在の自分、何一つ消せはしないのです。

悩んだ末に、一時は名前ごと自分自身すら捨てようとしたカインですが、最終的にそこに辿り着き、大切なのは過去は過去として捉えた上で、この先をどうするかなのだと回り道に回り道を重ねて、やっとこさ「お前も俺自身だからだ」と過去を受け入れ、否定され続けていた闇カインも「オレがオレであるために」という目的を成せたのが、あの一連の戦いだったのかなと。

だから、個人的には4TAのカインが闇カイン共々、未だにローザへの想いとセシルへの嫉妬心を拗らせた挙句、結局二人の息子を手懐けてハッピーエンドみたいな解釈は解釈違いなんですよね。よくそういうネタ見ますけどね。

槍を向けられても、世界ごと裏切られても、目の前で「セシルを殺してやる!」と叫ばれても、セシルとローザにとってカインはやっぱり頼れる親友で大事な幼馴染。自分たちの大事な息子を託せるほどの存在なんですよね。
カインにとっても、二人からのその信頼の厚さはまるで昔の何もなかった頃に戻れたような喜びだと思います。

まあ、その後カインがミシディアから16も年下の天才白魔道士を嫁に迎えることになって、セシロザ夫妻がヒャッホーしながら本人達よりノリノリでお膳立てをあれこれし始めるわけですが、そこからは妄想の話なので( ˘ω˘)スヤァ(ここまでもそうでは?)

上部へスクロール