#ヒカアグ
ゲーム中ではヒカリ5章はヒカリくんがク国の王に即位してク国は平和になりましためでたしめでたし、で終わってその後すぐにまた旅立ってたけど、実際には戦後処理と国の基礎作りが控えてたので、少なくとも数ヶ月はあのまま仲間とク国に留まってたと思うんだよな。
ゲームの進行にもよるけど仲間達にもそれぞれの目的はあるので、ヒカリくんは自分達のことは気にするな、すぐに追いつくから先に旅立っててくれて構わないって言うんだけど、仲間達は先を急ぐ旅でもないし、このままのク国を放っておけないから、って復興支援をしてくれて。
仲間達の手腕もあって瞬く間にク国は軌道に乗り始めるんだけど、いつまでも旅を中断するわけにもいかないし、そろそろ出発しようか、ってところでヒカリくんをどうするかって話になって。
アグネアが真っ先に「ヒカリくんはこの国になくてはならない人だから…だから、お別れだね」って言って。ヒカリくんとアグネアが男女の仲なのは周知の事実なので「それでいいのか?」ってみんな言うんだけど「いいの、この日が来ることは分かってたから…」って半分泣きそうな笑顔で返されて、何も言えなくなるやつ…。
せめてこれ以上ヒカリくんの負担にならないようにと内緒で出発しようとしたら「遅かったな」ってヒカリくんに待ち伏せされていて。
「俺はそなた達の力になると約束した。それでそなた達に受けた恩義を返しきれるものではないが、何も返さずにこのまま旅立ちを見送るのは俺の誇りが許さぬ」「それに、俺にはまだまだ学ぶことが多い。それを思い知った。国はしばらく友に任せ、俺は世界を見て学ぶことにしたのだ。……一緒に行かせてくれるか」って滔々と述べて笑顔を見せるヒカリくんに、みんなホッと安堵の表情を浮かべるんだな。
何だかんだヒカリくんの武勇は旅に欠かせないものだったし、それに、ヒカリくんがいるとアグネアが笑顔でいてくれるから。
「でも、本当によかったの?」
「ああ、皆のおかげで俺が常に玉座でふんぞり返る必要もなくなった。それに……」
「それに?」
「アグネア、俺はそなたにまだ伝えられていない想いがある。それを伝えられる男になるためには、まだ旅が必要なのだ。……このままそなたと離ればなれは、嫌だ」
「うん、あたしも……覚悟してたけど、やっぱり寂しかったよ」
「だから、もう俺と離れようなどと考えるな。俺はク国の王になったが、その前にそなたを愛する一人の男なのだ」
って抱き合ってキスを交わして、再び8人で旅立つんだろうなって。それぞれの明日のために。畳む