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2019/01/25 16:00
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 ティナの細い身体をそっとベッドに横たわらせて、唇を重ねる。愛というものを知らず、愛し合う手段も何もかもわからない彼女だが、エドガーと同じようにと小さな舌を懸命に絡ませようとしてくるティナに、大きな波が湧き上がる。女性とあらばのべつまくなしに口説き、女性を抱いたことも一度や二度ではないエドガーだが、彼はいつもどこか冷静で、波を感じたことはなかった。それは、為政者としてあってはならないものだったから。ところが、今の自分はティナを前にして、どうしようもないほどの欲に駆られている。
 ティナへの想いを自覚したとき、エドガーはそれを封じ込めようとした。今や世界の存亡はケフカのさじ加減ひとつであり、唯一国家として機能しているのはフィガロ王国のみ。対抗勢力の気力を削ぐためにも真っ先に狙われてもおかしくはない。エドガーには、自国民を守る義務があり、それは今や世界を守ることと同義であった。十年前に即位したときとは比較にならない重圧を背負う中で、愛だの恋だのと囁いている暇はないはずだった。
 だが、秩序も何もかも崩壊した世界は、皮肉にも己の全てを一から見直すきっかけともなった。だから、エドガーは今こうしてティナを抱きしめている。そんな暇はない、だからこそ今のこの一瞬を大事に刻み込みたい。
 ティナの薄い胸に指先を滑らせて、控えめに存在を主張し始めている飾りを指先で捏ねてやる。それだけでティナの白い肌は桃色に染まり、重ねた唇の隙間から甘い声が漏れた。徐々に固さを増していくそれを指で転がしているだけでは物足りなくて、エドガーはティナから唇を離すとまっすぐに彼女の胸元に顔を埋め、それを口に含んだ。

「んぁ……っ」

 自分の一挙一動に、戸惑いながらも敏感に素直な反応を示してくれるティナがとても愛おしくて、もっと色々してみたいという加虐心にも似た感情が湧き上がるのを、何とか押さえつける。はあはあと息を荒げ、エドガーの愛撫を受け入れるティナは、これまでに抱いたどの女性よりも淫靡で、妖艶で、なのにどこか幼さの残る表情と体つきがエドガーを惹きつけてやまなかった。
 昨夜、これが最初で最後のつもりでティナを抱いたはずだったのに、求められてそれを拒みきれなかった自分に自嘲にも似た感情が湧く。一度抱いてしまったからこそかもしれない。何事も、知ってしまえば知らなかった昔には戻れないのだ。それは緊迫した決戦前であろうとも例外ではない。

 ――欲しい。どうしようもなく。

 胸から腹へと徐々にキスの位置を下げていき、ティナの脚を開かせる。昨夜開いたばかりのそこは既にとろりと蜜を垂らしていて、エドガーを誘っているかのように思えた。誘われるがままにティナの泉に舌を這わせる。

「あ、や、エドガー……っ!」
「ん……かわいいよ、ティナ」

 ぴちゃぴちゃとわざとらしく音を立ててやりながら、ティナの蜜を舐め啜り、ぷくりと膨らんだ肉の芽に吸い付く。強い快感から逃れるかのように浮き上がるティナの細い腰をがっちりと掴み、夢中になってむしゃぶりつく。どれだけ舐めてもティナの蜜はとどまることなく溢れ、エドガーの唇を濡らし、シーツに染みを作っていくのがたまらない。肉の芽を口の中で転がしながら、割れ目にそっと指を埋めていく。昨夜開いたばかりのそこは、エドガーの指を難なく受け入れてきゅうきゅうと締め付けた。その締め付けに、これから己自身を突き立てるときのことを想起して、エドガーは下半身が更に疼くのを感じた。
 昨夜開いたとはいえ、男を受け入れるにはまだ固く閉じられた扉をほぐすように、ゆっくりと指を抽挿してやると、かき出された蜜がシーツの染みを更に大きくし、ティナはいやいやをするように頭を振って、エドガーの金髪を弱々しくくしゃりと掴んだ。

「あっ、だめ、何かきちゃう……っ」

 その言葉を合図に、ティナの中を指でこすり上げながら肉の芽に一際強く吸い付くと、ティナは声にならない嬌声を上げて身体をびくびくと震わせた。小さく身体を震わせながら、はあはあと熱い息を吐き、潤んだ瞳でエドガーを見上げてくるティナは何物にも代えがたいほどに美しく、文字通りエドガーは目が離せないでいた。
 昨夜、月の光に照らし出されたティナの肢体も筆舌に尽くしがたいほどに美しかったが、砂漠の朝の光に照らし出されている様も捨てがたく感じられる。こういうとき、どういう言葉をかければ女性が喜ぶのかは熟知しているはずなのに、何の言葉も出てこない。うわべだけの言葉など、実に無力なものだとエドガーは心の中でそっと自嘲した。
 ティナの呼吸が少し落ち着くまで、ティナを抱きしめ、ふわふわの淡い金髪を撫でてやる。その間も、エドガーの身体の中心はティナが欲しいと存在を主張し続けている。だが、それを告げていいものだろうかとここに来てまた迷いが出る。

 ――まったく、我ながら難儀なものだな。

「エドガー……」
「何だい、ティナ」

 鈴の鳴るような声で名前を呼ばれて、エドガーはティナに笑みを見せた。ティナはそれを見て少しだけほっとした顔をして、恥ずかしそうにエドガーの胸に顔を埋める。

「あの、私、昨日みたいにエドガーと繋がりたい」

 ティナの口から出た言葉に思わず目を見開いた。よもやこの少女からそんな言葉が飛び出してくるとは、全く予想外だった。だが、男女の情交について何の予備知識も持たないからこそ、ティナはどこまでも素直なのかもしれない。求められるのは素直に嬉しい。

「いいのかい」
「エドガーはいや?」
「とんでもない。俺も、ティナと繋がりたい。だが……」
「私の身体のこと? 昨夜は痛かったけど、でも、それでも私……」
「……ふふ、すまないね。レディにそこまで言わせてしまうとは、俺という男は本当に……」

 言葉を飲み込むとティナの髪を撫で、頬にキスをしてエドガーは一度身を起こした。一度きちんと整えていた服を雑に脱ぎ捨て、結っていた髪もほどいてしまう。もう一度ティナの身体に覆い被さり、素肌同士で触れ合うと、ティナの確かな温もりがエドガーの心を優しく溶かしていく心地がした。

「ティナ……愛している。俺を受け入れてくれるかい」
「もちろんよ、エドガー。……愛しているわ」

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