文字サイズ小中大
文字組縦横
フォントゴシック体明朝体
「あ……っ陛下……っ!」
「……っ!」
ハァ、と息を整えて身を起こす。絶頂の余韻でまだ動けないでいる彼女の汗ばんだ肌に口づけて、腹に吐き出した己の白濁を拭き取ってやる。
「……陛下がそのようなことを」
「構わない。今日も貴方は実に美しく、素晴らしかった」
「陛下には敵いません」
頬を染め、笑う彼女に微笑みかける。
どちらも、本心はどこにあるのだろうか。空虚な会話だ。
気怠そうに身体を起こした彼女が、寝間着を羽織ろうとするのに合わせて、自分も脱ぎ捨てたシャツを羽織る。まだ夜は更けきっていない。残っていた書類を片付けておかねばなるまい。
ベッドを降り、部屋の扉に手をかけた彼女がぴたりと動きを止める。
「陛下」
「何だい。もう一度キスが欲しいのかな?」
「ご冗談を。……陛下は、分け隔てなく私達を愛してくださいますが、誰ひとりとして陛下の瞳には映ることができないのですね」
「まさか」
「……いつか、陛下の瞳に映る女性が現れるといいですね」
「……私は国王だからね。誰か一人だけを愛するなんて、できないのさ。世界中のレディが泣いてしまう」
肩をすくめると、彼女はふふっと笑って寝室を後にした。それ以来、彼女が私の寝室に入ることはなくなった。数日後、私の暗殺未遂とか何とかで投獄されたと聞いた。「やはりな」という感情しか湧かなかった。
――どうして、そんなことを今思い出したのか。
「あ……っエドガー、エドガー……っ」
「ティナ……目を開けて……。俺はここにいるよ」
「エドガー……」
俺の身体の下で、懸命に俺を受け入れているティナが涙に濡れた瞳で俺の名を呼ぶ。それだけで、天にも昇れそうな心地がする。枕に広がるアッシュブロンドの髪、白い肌、鈴のような声、この世の何より美しくて、一瞬たりとも離したくない。俺のそんな想いを受け止めてくれて、もっと大きなもので返してくれる彼女が何より愛しくて、心が温かなもので溢れてしまう。
「だいすきよ、エドガー」
「ああ、……俺も愛してるよティナ」
この瞬間だけは、俺はただの男になれる。俺の仮面をすべて引き剥がして、残ったものをその小さな身体で包み込んでくれて、ティナ以外に何も目に入らない。
こんな想いが俺の中にあるなんて知らなかった。世界中のレディを泣かせてでも、ただ一人しか欲しくない。
きもちいい、あたたかい、もっとほしい。
「あっ、あ……っ、や……!」
「は……っぁ、ティナ、きもちいい……?」
「エドガーは……?」
「このままずっと繋がっていたいほど……俺は君を……」
「私もよ、エドガー」
頬を染めてふわりと微笑む彼女に、俺はまた理性を飛ばした。
――君になら、構わない。