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2019/08/31 16:54
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 ベッドにしどけなく身を委ね、上質な布で織られたガウンのような夜着を纏ったエドガーは窓からの月明かりに照らされた天井を眺めていた。ティナを寝室に招き入れてすぐに、エドガーは彼女に湯殿を使うように勧めた。ティナは屋上に上がってきた時点で、既に湯を使った後であったが、話し込んでいるうちに夜風で冷えただろうと思ってのことだった。その間にエドガーはゆったりとした夜着に着替えて、こうしてティナが出てくるのを待っているわけだ。
 どうにもそわそわと落ち着かない気持ちになる。シャワーを浴びる女性をベッドで待つことなど初めてでもないのに、いつもとは違う意味で心が浮き立つ。
 キイ、とドアが開く音がしてしずしずと衣擦れの音が聞こえてきた。エドガーが身体を起こすと、シルクのような素材の美しいワンピースに身を包んだティナが、ほかほかとした湯気を纏って歩み寄ってくるのが見えた。よく温まったのか、頬を上気させたティナの姿は匂い立つような仄かな色気を伴っていて、エドガーは瞬間言葉を失って視線を奪われた。

「あの、エドガー。私の着ていた服は……」
「あ、ああ。きっと気を利かせて洗ってくれているのだと思うよ」
「そんな、悪いわ。こんなにきれいな着替えまで用意してもらっちゃって」

 ティナの困惑はもっともだ。エドガーもそうしてくれと命じたわけではない。おそらく、神官長辺りが気を利かせてくれたのだろうと想像はつくが、ティナはそういう風に身の回りのことを世話されることに慣れているわけではない。とはいえ、いずれフィガロ城で暮らすからにはそういったことにも慣れてもらわねばならない。
 エドガーはふっと笑みを浮かべると、ティナのほっそりとした手を取った。

「明日の朝には返してくれるさ。これからは、一声かけるように注意しておくよ。それに……」

 すうっと目を細めて、ティナの手を自分の手で包み込む。

「そういう格好もとてもよく似合っている。目にすることができて嬉しいよ。……綺麗だ」
「え、エドガー……きゃっ!」

 ティナの細い腰を抱くと、驚いたティナが一瞬バランスを崩したのに任せて、彼女を柔らかなベッドの上にふわりと導いた。月明かりにうっすらと浮かび上がるティナのシルエットは、ゆったりとしたワンピース越しでもはっきりとしたまろやかなラインを描いていることが感じられて、エドガーは胸の高鳴りを覚えた。
 頬を染め、潤んだ瞳でエドガーを見上げてくるティナは、何よりも美しいと感じた。初めてティナをベッドに押し倒した夜も、その美しさに息を呑んだのを思い出す。

「……怖くはない?」
「貴方がいるなら、怖くないわ」

 ティナの手がエドガーの頬を撫でる。その手を取って、手のひらにそっと口づけた。そのまま口唇を少しずつ押し当てたり離したりしながら、徐々に腕から肩を通り首筋に辿り着く。ティナの瞳をまっすぐに見つめ、「キスをしてもいいかい」と尋ねると、ティナはこくりと頷きそっと目を閉じた。
 口唇を重ね、角度を変えながら少しずつ深いところまで進んでいく。舌先でティナの口唇を少しだけつつくと、それが合図と察したティナがうっすらと口唇を開いたのに合わせて、ねろりと舌を入れ込む。ティナは驚いたように一瞬身を強張らせたが、すぐに力を抜いてエドガーの首に腕を回した。ティナの小さな舌先をとらえて、撫でるように舐めていると、ティナもぎこちなく同じように返してくれる。頭の奥が甘くしびれて、身体が熱くなってくるのを感じる。
 どれほどの間そうしていたのかはわからないが、ようやく満足したエドガーが口唇を離す頃には、ティナは目尻に涙を浮かべ、はあはあと荒い息を吐きながらくったりとした表情でこちらを見つめていた。もっとも、ティナから見たエドガーも同じような表情をしていたわけだが。
 まだ世界が緑に包まれていた頃、こうしてベッドに横たわるティナを見下ろすエドガーは、今のように満たされた気持ちではいなかった。心の片隅には常に罪悪感が渦巻いていて、これ以上はダメだと頭の奥で叫ぶ声が聞こえるのに、それでも抑えきれない衝動に突き動かされてばかりだった。ティナが自分と同じく情欲に濡れた瞳をしていたことは、そういう生理現象なのだと見ないふりをしていた。いっそ拒んでくれればと願いながら、それでも拒まれたくはなかった。何と身勝手だったのだろう。
 だが、今はどうなのだろう。既にお互いの心はさらけ出した。その心に疑う余地などありはしない。それでも、まだ少しだけ怖いと思っている自分がいる。

「ティナ。俺はこれから、君を抱く。……嫌ではない?」
「エドガーは嫌なの?」
「まさか。君を愛していると気付く前から、君を欲していたのに。君を抱く前に気付けていれば、君を傷つけることには……」
「私もそうだったわ。貴方を愛していると気付く前から、貴方が欲しかった。私が悲しかったのは、もっと別のことよ。貴方が、私を抱くときいつも苦しそうにしていたから」
「……そうだね、苦しかった。君のことが欲しくて仕方ないのに、それを伝えることができなかったから」
「今は?」
「欲しくて仕方ない」

 ティナの言葉に笑みを返して、エドガーはティナの白い首筋に軽く口付けた。そのまま口唇を滑らせて、ワンピースの胸元のリボンをゆっくりとほどいて顕になった肌に吸い付く。決して重量感を伴っているわけではないが、もちもちと柔らかな膨らみを大きな手のひらですっぽりと覆い、ゆっくりと円を描くように手を動かせば、膨らみは容易にその形を変えた。

「ん……っ」

 ティナの甘い吐息を聞いて気を良くしたエドガーが、ぷくりと立ち上がってきた胸の飾りを人差し指でくにくにと膨らみの中に埋め込むようにしてやると、ティナはますます甘い声を上げて身体をくねらせた。
 長年使い慣れた自分のベッドにティナがいて、自分の愛撫に蕩けた表情を見せてくれているという事実が、エドガーにはとてつもなくしあわせだと感じられた。ティナの香りが、触れる度に辺りに充満していくようで、エドガーの思考を痺れさせていく。そうだ、この香りをもっと感じたい。
 ワンピースの胸元をグイと開き、ティナの上半身がエドガーの眼前に晒される。白い月明かりの下なのに、桜色に色づきしっとりと汗ばんだ肌と、胸元の控えめな膨らみの先につんと立ち上がった胸の飾り。思わず、ほう、とため息をついた。
 エドガーの夜着はそれほど厚い布地ではなく、ゆったりとしてよく風を通すはずなのに、熱くてたまらなくなって、夜着の腰紐を一気にほどき脱ぎ捨てた。武人としても名高いフィガロ国王の、鍛えられた肉体がティナの眼前で顕になった。
 ティナのアメジストの瞳が丸くなって、エドガーの身体に向けて視線が注がれる。目をそらされるわけではなかったことに安心したし、視線に込められた好奇の色に悪い気はしないが何ともこそばゆい気持ちになる。

「そんなに珍しいかな」
「だって、あまりちゃんと見たことがなかったから……。エドガーはとても綺麗な身体をしているのね」

 頬を染めながら、胸筋に細い指を滑らされてエドガーは息を呑んだ。驚いたティナが、瞬時に手を引っ込める。

「ご、ごめんなさい。触っちゃダメだった?」
「いや、びっくりしただけだよ。君に触ってもらえるのは気持ちいい……初めて知ったよ」
「私もエドガーに触ってもらえるのは気持ちいいわ。エドガーも同じなのね」

 ふわりと微笑むティナに、エドガーも思わず笑みを返した。同じ、という響きがとてつもなく嬉しい。自分と同じ感覚を共有してもらえているということが、これほどに嬉しいものだとは想像もしていなかった。そうであればどれほどいいものかと思いながらティナを抱いていた雨の夜が、今は遠くに感じる。
 身体を撫でるティナの指をくすぐったく感じながら、エドガーも同じようにティナの胸元を撫でる。雪のような白い肌の上を這う小麦色の自分の手のコントラストが、ティナの柔らかさと美しさをより引き立てているようで、その白い雪の上に自分の足跡を刻み込みたい衝動に駆られた。
 ティナの胸の膨らみを寄せて、口唇で何度も啄んだ。時折強く吸ってやれば、白い肌の上に鮮やかな紅い痕が浮かび上がる。エドガーの口づけに呼応して何度も甘い声を上げるティナが愛おしくて、もっとその声を聞きたいという気持ちで塗りつぶされていく。
 指をティナの脚に滑らせていく。ティナは一瞬ピクリと反応したが、すぐに力を抜いてエドガーの動きに合わせて脚を少しだけ開いた。ワンピースの裾をたくし上げ、そのまま脚の隙間に更に指を滑らせると、奥の方で布越しにティナの秘部に触れた。ぬる、と布が滑る感触にぞくりとした感覚が背筋を駆け上がる。

「ティナ……」

 名前を呼べば、それだけで息が荒くなりそうなほどに興奮しきっている自分に気がついた。ティナの目にはどう映っているのかが少しだけ気にかかる。
 月明かりに浮かび上がったティナの表情は、エドガーが次に何をするのかという期待と信頼に満ちているように見えて、エドガーはふっと笑みを浮かべた。

「愛してるよ」
「ん……、私も愛してるわ……」

 布越しにティナの秘所を指先でゆっくりと弄んでいたが、やがて欲求に耐えきれなくなったエドガーはティナの下着の紐をするりと一気にほどいた。

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