「じゃあ、エドガーは今もまだモグを疑ってるの?」
「そういうわけじゃない。この世界の案内役としてモグが必要なのは事実だ。だが、神々すらも何者かの干渉を受け始めた今、モグもまたそうならないという保証はない。現に、モグの能力も以前ほどのキレがなくなっている」
「それは神様が弱っている影響じゃない?」
「もちろん、その可能性も大いにある。結局のところ、モグも神々も私達の理とは別の理で生きている者たちだ。頭から信用するのは危険だと考えるのは不自然ではないだろう」
「でも……、モグは今度こそ『乗っ取られたモグを信じてくれたみんなを守りたい』って言ってたわ。あの言葉に嘘はないと思う」
「そうだね。君がそう感じたのなら、きっと嘘ではないだろう」
「エドガーは、それでも信じきれないの? 操られて私達に嘘をついていたから?」
「……王様の悲しいところさ。いいかい、俺も頑張ってくれているモグを無闇に疑いたいわけではない。ただ、何が起こるかわからない世界だからこそ、備えは必要だと思う。でもね、大事なのは自分の見てきた事実をどう捉えてどう判断するかってことだ。君がこの世界に来てから、モグに沢山救われてきたことは聞いている。それは俺が知らない事実だ。君だけが知っていることだから、それを判断材料にすることは俺にはできないんだよ」
「そうよね、エドガーは王様だから、色んなものを見てちゃんと決めなきゃいけないものね……」
「そんな顔をしないでくれ、ティナ。でもね、モグが戻ってこれたのは君を始めとしたみんながモグを信じていたからだ。これもまた事実だろう? それだけ、信じるっていうのは難しいことだしとても強い力なんだよ。そういうことを当たり前のようにできるティナを俺は尊敬しているよ」
「そんなことないわ……。エドガーみたいに、難しいことは考えられないだけなのよ」
「……君は、『生まれつき魔導の力を持つ人間などいない』と君の存在を全否定した俺のことすらも信じてくれた。そんな君のまっすぐな強さに、俺はとても惹かれるんだ」
「エドガーってば……」
「それにね、疑り深い王様には『ここは信じるべきだ』と意見してくれる人が必要なんだよ。でないと、猜疑心だけで独裁を始めてしまう」
「エドガーが独裁だなんて、想像もつかないわ。いつだって自分で何でも決めてるようで、本当は誰よりも人の意思を大切にしている貴方が」
「そう思ってもらえるなら光栄だね」
「貴方の言ってることもわかるのよ……。でも、ちょっとだけ悲しくなるの。ごめんなさい」
「ティナが気にすることはないよ。まあ、俺も色々言ったけどモグに対しては少し私情も入っているかもしれないな。まだまだだな」
「私情? エドガーが私情を挟むなんて珍しいわね」
「そりゃ俺だって人間だからね。何より愛している女性が、俺が声をかけたのにも気付かずにモーグリを抱くのに夢中になっていれば、面白くない気持ちにもなるさ」
「あ……、さっきのこと!? あれは、ん……っ!」
「ということで、今度は俺のことを抱いてくれると嬉しいな」
「だ、抱くってどうすれば……あっ」
「ん? 俺に掴まって、離さないでいてくれればいいよ……。ん……、本当は君に抱かれるのは俺だけの特権にしたいんだけどね……っ、まあ、ベッドでは俺だけの特権だから……は……」
「やっぱり独裁者だわ、エドガーは」
「君にだけさ。嫌かい?」
「ううん……来て、エドガー」
「仰せのままに」
「そういうわけじゃない。この世界の案内役としてモグが必要なのは事実だ。だが、神々すらも何者かの干渉を受け始めた今、モグもまたそうならないという保証はない。現に、モグの能力も以前ほどのキレがなくなっている」
「それは神様が弱っている影響じゃない?」
「もちろん、その可能性も大いにある。結局のところ、モグも神々も私達の理とは別の理で生きている者たちだ。頭から信用するのは危険だと考えるのは不自然ではないだろう」
「でも……、モグは今度こそ『乗っ取られたモグを信じてくれたみんなを守りたい』って言ってたわ。あの言葉に嘘はないと思う」
「そうだね。君がそう感じたのなら、きっと嘘ではないだろう」
「エドガーは、それでも信じきれないの? 操られて私達に嘘をついていたから?」
「……王様の悲しいところさ。いいかい、俺も頑張ってくれているモグを無闇に疑いたいわけではない。ただ、何が起こるかわからない世界だからこそ、備えは必要だと思う。でもね、大事なのは自分の見てきた事実をどう捉えてどう判断するかってことだ。君がこの世界に来てから、モグに沢山救われてきたことは聞いている。それは俺が知らない事実だ。君だけが知っていることだから、それを判断材料にすることは俺にはできないんだよ」
「そうよね、エドガーは王様だから、色んなものを見てちゃんと決めなきゃいけないものね……」
「そんな顔をしないでくれ、ティナ。でもね、モグが戻ってこれたのは君を始めとしたみんながモグを信じていたからだ。これもまた事実だろう? それだけ、信じるっていうのは難しいことだしとても強い力なんだよ。そういうことを当たり前のようにできるティナを俺は尊敬しているよ」
「そんなことないわ……。エドガーみたいに、難しいことは考えられないだけなのよ」
「……君は、『生まれつき魔導の力を持つ人間などいない』と君の存在を全否定した俺のことすらも信じてくれた。そんな君のまっすぐな強さに、俺はとても惹かれるんだ」
「エドガーってば……」
「それにね、疑り深い王様には『ここは信じるべきだ』と意見してくれる人が必要なんだよ。でないと、猜疑心だけで独裁を始めてしまう」
「エドガーが独裁だなんて、想像もつかないわ。いつだって自分で何でも決めてるようで、本当は誰よりも人の意思を大切にしている貴方が」
「そう思ってもらえるなら光栄だね」
「貴方の言ってることもわかるのよ……。でも、ちょっとだけ悲しくなるの。ごめんなさい」
「ティナが気にすることはないよ。まあ、俺も色々言ったけどモグに対しては少し私情も入っているかもしれないな。まだまだだな」
「私情? エドガーが私情を挟むなんて珍しいわね」
「そりゃ俺だって人間だからね。何より愛している女性が、俺が声をかけたのにも気付かずにモーグリを抱くのに夢中になっていれば、面白くない気持ちにもなるさ」
「あ……、さっきのこと!? あれは、ん……っ!」
「ということで、今度は俺のことを抱いてくれると嬉しいな」
「だ、抱くってどうすれば……あっ」
「ん? 俺に掴まって、離さないでいてくれればいいよ……。ん……、本当は君に抱かれるのは俺だけの特権にしたいんだけどね……っ、まあ、ベッドでは俺だけの特権だから……は……」
「やっぱり独裁者だわ、エドガーは」
「君にだけさ。嫌かい?」
「ううん……来て、エドガー」
「仰せのままに」