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2019/03/01 15:14
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「はー、お腹いっぱい! 色男もティナも毎日こんなの食べてるのかなー。お城ってすごいなー」
「だとすれば、食った分はどこに行ってるんだろうな。こんなの毎日食ってたら、太っちまう」
「確かに……」

 すっかり日も暮れて、お茶会から夕食会に招待されたセッツァーとリルムは、出された料理全てに舌鼓を打った後、あてがわれた部屋に荷物を下ろしながらくつろいだ時間を過ごしている。城主は執務がまだ残っているとかで、早々に夕食会を切り上げて名残惜しそうに退室していった。飄々とした態度は変わらないものの、エドガーの国王としての手腕と多忙さは本物なのだと嫌が応にも思い知らされる。
 少し荷物を広げると、リルムはベッドを背もたれにして座り込んだ。スケッチブックを取り出して、せっせと鉛筆を走らせ始める。今日フィガロ城にたどり着いてから、ぼんやりと得た着想を描き留めておきたい。聖堂に飾る絵なら、エドガーとティナをモデルにして砂漠のオアシスを背景に、とイメージを膨らませては形にしていく。絵に描いたものが実体化することはなくなったが、それでも描く楽しさは変わらない。
 真剣にわくわくしたような顔をして鉛筆を走らせるリルムを見て、セッツァーはベッドにごろりと転がった。こうなると、何を言っても生返事しか返ってこないことは長年の付き合いでわかっている。気が済んだら向こうから声がかかるだろう。
 飛空艇の自室に運び込んでいるベッドもそれなりに値の張った質の良いものだが、やはり本物の王族が所有するものには及ばない。全身をふかふかと包まれる感触と、満腹感にとろとろとした眠気が忍び寄ってくる。やはり長距離飛行の疲れも蓄積していたのだろうか。重い瞼の向こうで、せっせとスケッチブックに向かうリルムのうなじから肩胛骨にかけてのラインがやけに艶めかしく脳裏に焼き付いて、手を伸ばそうとしたが届かず、セッツァーは目を閉じた。
 浮かんだイメージを一通り描き起こして、どういう制作過程を取ろうかとスケッチブックから視線を外したところで、リルムは背後からくうくうと穏やかな寝息が聞こえてくることに気付いて、がばりと振り返った。長い銀髪を顔と身体中に纏わせて、コートも脱がずに寝息を立てるセッツァーに、どきどきと胸が高鳴る。そういえば、セッツァーの寝顔をまじまじと見たのは初めてな気がする。長年片想いをしていたセッツァーと結ばれて以来、基本的に彼と床を共にしているが、いつだって寝るのも起きるのもリルムは後手後手に回ってしまう。
 セッツァーとの情交は何もかも初めてのリルムにはついていくだけで精一杯で、終わった後はとろとろとした睡魔に抗えずそのまま眠りこけてしまって、目覚める頃には日は高くなりセッツァーはとっくに身支度を済ませている。「寝顔はまだまだ子供だな」などとからかうように笑われて、悔しい気もするがリルムは知っている。リルムが眠りに落ちたタイミングで、セッツァーがリルムの寝顔にそっとキスを贈り、包み込むように優しく抱きしめてくれていることを。
 顔にかかっている銀髪をそっとよけると、傷痕だらけなのに滑らかな肌と、整った鼻筋と薄い口唇が顕わになる。引き寄せられるように、口唇を重ねた。それだけでは足りなくて、どきどきとした胸の高鳴りをお供に額、瞼、頬と口唇を落としていく。「ん……」と少しくぐもった声を漏らすのがやけに色っぽくて、リルムは少しおかしな気分になってくる。
 普段のセッツァーの寝室とは違う風景、広いベッド、見たことのないセッツァーの寝顔がもたらす非日常感が、リルムを何かに駆り立てる。

「セッツァー、コートぐらい脱がないとダメだよ」

 どきどきしながら声をかけてみたが、起きる気配はない。ブーツを脱いで、ベッドに乗り上げセッツァーの身体をまたぐようにのしかかる。このまま寝たのではダメだからと心の中で言い訳をしながらクラバットを外して、シャツのボタンをぷちぷちと外す。眼前に晒された白い首筋が綺麗だなと思った。ちゅ、と口づけるとセッツァーの香りが鼻腔に広がって、頭がふわふわとしてくる。セッツァーはいつもこんな気持ちなのかなと思いながら、夢中になって何度も首筋にキスをした。
 ぎゅう、と抱きしめるとセッツァーの胸板で自分の胸の膨らみがむにゅむにゅと押しつぶされる感触が気持ちいい。

「ん……っ」

 そのまま少し身体を揺らすと、押しつぶされた膨らみがむにゅりと形を変えるのが、まるでセッツァーに揉まれたときのように感じられてたまらない。身体の奥が熱く疼く。

「あ……セッツァー……」

 自分の手もそっと胸に添えて、ぽそりと名前を呟く。それだけで、ぞくぞくとした快楽が背筋を駆け上る。こんなことしてたらセッツァーが起きてしまう、いけないことだと頭の片隅で何かが叫んでいるのに、止められない。セッツァーにばれたら何を言われるかわからない。そのときのセッツァーの表情を想像するだけでもびくびくと身体が震えて、もっと強い刺激が欲しくなる。

「ん、ふ……、んん……っ」
「なに、ひとりで楽しんでんだ」

 ぐい、と腰を掴まれお尻の部分に熱い塊を押しつけられる感触がして、リルムははっと我に返った。ふと見下ろせば、自分の身体の下でシャツをはだけながらニヤニヤと楽しそうに笑うセッツァーがいて、リルムは一気に顔に血が上るのを感じた。

「あ、あの、これは……」
「は……、いい光景だな。続けて見せてみろよ」
「つ、つづけてって……」
「どうせならもっと脱げば気持ちいいかもしれねえぞ?」

 つつ、と布越しに胸の双丘を撫でられて甘くしびれた感覚が駆け巡る。そのまま服を下ろされ、豊かな胸をぷるりと晒すことになる……と淡い期待を抱いたものの、セッツァーの手は胸をするすると撫で回すだけで、すっかり立ち上がりかけた先端にも触れようともしない。

「やっ、自分でするのじゃ足りないよ……」
「そうか? ずいぶん気持ちよさそうだったじゃねえか」
「んん……っ、せ、セッツァーの身体が気持ちよかったんだもん……」

 目尻に涙を浮かべてセッツァーの手がもたらす緩やかな刺激に身体と声を震わせるリルムに、笑みが漏れる。まったく、この少女は見た目と中身はまだあどけなさを残しているのに、身体だけはセッツァーが抱いたことのあるどんな女性よりも淫靡で、飽くことがない。初めて抱いたときからその感度の高さと馴染み方には驚かされるばかりだった。それを自分だけが独占できるのだということがたまらなく嬉しい。

「俺の寝込みを襲うような悪い子にはお仕置きが必要だしな。俺の前で続きをやってくれりゃ、お前の言うことも聞いてやるよ」
「ん……っ、もう、いじわる」
「最初に仕掛けてきたのはお前だろ。ここにはエドガーもティナもいるってのに、エロいやつ。いつ誰が来るかわからねえぞ?」
「そんなこと言って、セッツァーだって乗り気じゃん……」

 ぐり、とリルムの柔らかな尻肉にセッツァー自身を押しつぶされる感触にセッツァーは思わず息を飲んだ。そのまま、布越しに性器同士をこすり合わせるようにリルムが身体を前後に揺らす。セッツァーの腹の上に両手を置くようにした体勢は、リルムの意思とはおそらく無関係にその豊かな胸を寄せ、突き出し強調する形となっていて思わず手を伸ばしたくなるのを堪える。
 頬を染め、とろりとした瞳は目尻に涙を浮かべ、声を抑えようとしているのか時折きつく口唇を結ぶ表情が愛らしくて、このまま突き上げればさぞや淫靡な表情を見せるのだろうと思うと、触れている性器が更に疼く。

「あ、あっ、セッツァー……ぁ」
「……っ、く」
「ん……っ、ふ、さ、さわって……?」

 服を自ら捲り上げ、蕩けた表情で顔の前に豊かな胸の双丘を晒される。つんと立ち上がった桃色の先端はセッツァーの口唇を待ちわびているかのようで、セッツァーは口角を持ち上げた。

「ほんとエロいやつ」
「セッツァーのせいだもん……」

 誘われるままに胸を両手で包み込み、そのままむにむにと柔らかな感触とボリュームを楽しむ。先端に舌を絡めてやると、リルムが甘い声をあげて身体を震わせる。その度に腰がゆらゆらと動き、布越しの性器に己自身をぐりぐりと押しつぶされる感触がたまらなく気持ちいい。余裕ぶってからかってみせたものの、そんなリルムに夢中になって溺れているのは他ならぬ自分自身だ。
 ぴちゃぴちゃと音を立ててリルムの胸を舐めしゃぶっているうちに、他の部分にも触れたくなって、空いている方の手をリルムの脚の間に滑り込ませた。湿った感触とくちゅりとした水音に興奮が煽られて、お互いに身に纏っているものが煩わしくなってくる。

「リルム、脱げ」
「ん……、セッツァーも……」
「わかってるよ」

 自分の身体の上にまたがった状態のまま、捲り上げた服を脱ぐリルムが艶めかしい。ぷるんと揺れる胸を目で堪能すると、セッツァーは熱を払うかのように自分のシャツのボタンを外し始めた。

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