一方その頃、カジノホールから離れたリルムの寝室で、ティナとリルムは優雅にティータイムを楽しんでいた。
「本当に大きくなったわね、リルム」
「へへっ、もうティナのことも追い越しちゃったもんね」
「もう一杯いかが?」
「もらうー! フィガロのお茶は本当に美味しいもん」
「ふふ、お土産に置いていくから、セッツァーとも飲んでね」
にこにこと穏やかな笑みを浮かべながら、ティーポットから紅茶を注ぐティナをじいっと見つめる。元々、浮世離れした不思議な雰囲気を持つ美女であったが、エドガーと結婚してからというもの、その美しさと穏やかな雰囲気にはますます磨きがかかったなとリルムは思う。多忙な国王夫妻と会う機会はそう多いものではないが、ふたりが幸せな日々を過ごしているということは会う度に否応なしに感じられる。まるでおとぎ話から抜け出したかのようなふたりの姿に、リルムは少しだけ胸が痛んだ。
渋るセッツァーをねじ伏せる形で飛空艇に乗り込んで、共に世界中をあてもなく回るようになってから、もう何年も経つ。元より、17も年上で、自由気ままに生きるのが好きなセッツァーが真面目に自分の相手をしてくれるわけがないだろうことは薄々わかっていた。それでも、空を近くに感じていればあの戦いの後生まれた、自分の中のよくわからない喪失感を埋めてもらえる気がしたし、飛空艇をあてもなく駆るセッツァーの後ろ姿に、何をすることができなくてもそばにいたいと思った。
はっきりといつからだったのかはわからない。口は悪くとも、貴族相手の商売柄か相応の教養と優雅さを身につけており、一方で夢追い人だった祖父の話に同調し、少年のような瞳で愛機と夢について語るその多彩な表情は、リルムから警戒心を奪った。ギャンブラー特有の価値観なのか、必要以上にリルムを子供扱いすることもなく、それでいて必要なところでは黙って手を貸してくれる。リルムにとってセッツァーは、色んな色彩を見せてくれる存在だった。
世界を救う最終決戦の前に、ストラゴス共々サマサの村に送り届けてもらっている道中、飛空艇の舵を取りながらいつものように空を見つめるセッツァーに、何の脈絡もなく何かが膨らんで、それが言葉として口から漏れた。セッツァーは一瞬目を丸くして、その後「ああ、ありがとうよ」と笑った。
それが最初で、リルムは恋というものを知った。
大人の駆け引きとかそういうものはわからない。リルムにできるのは、ただ自分の想いを告げることだけだった。それにはとてつもない勇気が必要であったが、ケフカや三闘神と戦うよりは楽なことに思えた。勢いのままに行動して、自分の想いを余すところなくセッツァーにはぶつけてきたが、セッツァーが靡く気配はない。成長してきた胸を強調してみても、抱きついても、キスをしても、「十年早え」の一言だけでセッツァーは身を離してしまう。そんな簡単なものではないと理解していたつもりではあるが、このままで良いのだろうかという思いが膨らんできた。カジノの気に入らない客はどうあっても叩き出すセッツァーが、何だかんだと言いつつリルムのことを追い出そうとしないことと、時折自分を見つめてくるその視線に何かが込められているような気がするのは、自惚れでなければそういうことなのだろうかとも思う。
「ティナはしあわせなんだね」
「リルムはそうじゃない?」
「……わかんない、かな。セッツァーと一緒にいられるのは嬉しいけど」
「それだけじゃ、足りないのね」
「うん……。でも、何が足りないのかわかんない」
セッツァーとどうなりたいのか、と問われると何となく答えに窮してしまう。数年前にエドガーとティナの結婚式に参列したとき、セッツァーとこうなる自分を想像してみるも、あまりピンとこなかった。そもそもセッツァーは、エドガーのような紳士ではない。セッツァーが愛を囁くところなど、らしくないと感じる。カジノで引っかけた綺麗な女性と夜の街に消えていく彼を見送りながら、あの女性と入れ替わりたいとも思えなかった。
もう少し大人になればわかるのだろうかとその時は思ったが、18歳の誕生日を目前に控えてもあまりよくわからないままだ。世界中を見て回ってきても、世の中にはわからないことばかりだ。あの戦いのときのティナやセリスは、もっと色んなことをわかっているように見えたというのに。
「リルム、サマサに帰った方がいいのかな」
ティーカップの温かさが何だかやけに沁みる。
わからないことばかりとはいえ、リルムはもうあの頃のような勢い任せだけの子供ではない。自分の想いをぶつければぶつけるほど、セッツァーが困惑しているのが伝わってくるようで、それは本意ではないと思った。嫌われる前に距離を置くべきなのかもしれない、という考えがリルムの思考を支配していく。
「どうして? セッツァーが嫌いになったの?」
「そんなことないよ。一緒にいればいるほど、リルムは好きになるけど、セッツァーは……困ってる」
「困ってる……」
ティナが不思議そうな顔をしているのが、少しだけちくりと刺さる。
リルムが見る限り、エドガーは最初からティナのことを想っていた。一方のティナはその特殊な出自ゆえか「愛する心」というものがよくわからず、それで随分と思い悩んでいたらしい。世界が滅び行こうとしていく中で、ついにそれを見つけた彼女は同時に自分を常に優しく包んでくれる存在に気がつき、晴れてふたりは結ばれた。
まるでおとぎ話だ。リルムとは、スタートラインから違う。
「私もね、リルム」
ティナがティーカップを静かに置く。
「エドガーを随分困らせたみたいなの。エドガーは王様だから、色々と難しいことを考えていたし、私は戦う力すら失っていたでしょう? あの戦いが終われば、幻獣の血を引く私はどうなるかわからなかったし。だから、一緒に来てくれって言えなくて随分困ったみたい。結婚するまでも、やっぱり同じように困ってたわ」
「でも、エドガーはティナのこと好きだから、言えなくて困ってたんでしょ」
「セッツァーも同じではないの?」
「え……」
「セッツァーは、リルムのことをとても大切に想っていると私は感じるわ。大切だから、どう接していいかわからなくて困ってしまうのよ」
エドガーはそう言っていたわ、と付け加えてティナがふんわり微笑んだ。ほんのりと染まった頬がとても綺麗で、エドガーが少し羨ましい。
「セッツァー、迷惑で困ってるんじゃないの?」
「迷惑で困っているなら、セッツァーは今頃リルムを追い出しているはずよ」
「仲間だからできないんじゃない? セッツァーはああ見えて優しいもん」
「そうね、セッツァーはとても優しいわ。でも、必要のない相手にまで不必要に優しくするような人じゃないでしょう」
それはわかるような気がする。裏を返せば、リルムが何となく吹っ切れないでいるのはその一点に尽きる。いっそこっぴどく振ってくれれば、まだ諦めもつくだろうに、セッツァーはそうせずに躱すだけだ。土俵にすら立たせてもらえないというのは、わかっていても時々辛くなる。
「うん、そうだね。でも、困らせたいわけじゃないんだよ」
「大丈夫よ。私もエドガーを困らせたいわけではないけど沢山困らせてしまったわ。私も、沢山困ったの。でも、どれだけ困っても一緒にいたいとエドガーは言ってくれたし、私もそう思った。セッツァーも、きっと沢山困っているだろうけど、それでもリルムと一緒にいるのよ。それが彼の答えなのよ。自分でわかっていないだけなんだと思うわ」
それに、とティナが付け足す。
「エドガーがね、今日こそははっきりさせてやると息巻いていたから。もう充分だろう、って」
「ふうん……?」
ティナの言葉に、到着するや否や「さあ、レディ達は積もる話もあるだろう? あまり本意ではないが私はこの男と過ごすことにするよ」と、やたらにこやかにセッツァーを連れ去っていくエドガーの姿を思い出して、少し笑いがこみ上げた。
エドガーが何をはっきりさせるつもりなのか、セッツァーと何を話しているのかはわからないが、リルムの心は少しだけ軽くなった気がした。
「答え、出るのかな」
「いつかは出さなきゃならないものだから。リルムがこんなに真剣なのに、セッツァーってば。私もちょっと怒りたいくらいだわ」
「ティナが怒ると怖いよ。あの時も西の山で怒ったの、すっごい怖かったもんね」
「もう、あれはリルムがそうしてほしいって言ったんでしょ!」
「えへへ、そうでした。……ありがと、聞いてくれて」
「聞くことしかできなくてごめんなさい。でも、私から見て、セッツァーがリルムを見る目はとても優しいと思うわ。少なくとも、エドガー達に向けているものとは少し違うと思う」
「だといいな」
少し冷めたお茶で喉を潤す。
セッツァーのことは好きだ。それは変わらない。しかし、無闇に自分の気持ちをぶつけるだけではきっと何も変わらないままだとも感じる。何かが変わってほしい思いと、変わらないでほしい思いがせめぎ合うが、年月は否応なしに変わることを求めてくる。そこはセッツァーも同じなのかもしれない。
そこで、ドアがノックされた。返事をしてドアを開けると、来たときと変わらずにこやかな笑顔のフィガロ国王がそこにいた。
「レディ達、失礼するよ。そろそろ城に戻ろうと思うのだがいいかね」
「わかったわ、エドガー」
「あ、片付けはリルムがするからいいよ」
「だめよ。私もするわ。エドガー、少し待っていてね」
「もちろんいいとも……と言いたいところだが、リルムには出てきてほしいな。酔っ払いの相手は疲れるのでね」
「まあ、どれだけ飲ませたの」
「一本だけさ」
「そこは色男が責任取るべきだと思うなー。ごめんねティナ」
「いいのよ。しょうがない王様は私がうんとお説教しておくわ」
ふわりと微笑むティナと、肩をすくめるエドガーに手を振って、リルムはカジノホールへと歩き出した。酔いざましの水も、忘れずに。
「本当に大きくなったわね、リルム」
「へへっ、もうティナのことも追い越しちゃったもんね」
「もう一杯いかが?」
「もらうー! フィガロのお茶は本当に美味しいもん」
「ふふ、お土産に置いていくから、セッツァーとも飲んでね」
にこにこと穏やかな笑みを浮かべながら、ティーポットから紅茶を注ぐティナをじいっと見つめる。元々、浮世離れした不思議な雰囲気を持つ美女であったが、エドガーと結婚してからというもの、その美しさと穏やかな雰囲気にはますます磨きがかかったなとリルムは思う。多忙な国王夫妻と会う機会はそう多いものではないが、ふたりが幸せな日々を過ごしているということは会う度に否応なしに感じられる。まるでおとぎ話から抜け出したかのようなふたりの姿に、リルムは少しだけ胸が痛んだ。
渋るセッツァーをねじ伏せる形で飛空艇に乗り込んで、共に世界中をあてもなく回るようになってから、もう何年も経つ。元より、17も年上で、自由気ままに生きるのが好きなセッツァーが真面目に自分の相手をしてくれるわけがないだろうことは薄々わかっていた。それでも、空を近くに感じていればあの戦いの後生まれた、自分の中のよくわからない喪失感を埋めてもらえる気がしたし、飛空艇をあてもなく駆るセッツァーの後ろ姿に、何をすることができなくてもそばにいたいと思った。
はっきりといつからだったのかはわからない。口は悪くとも、貴族相手の商売柄か相応の教養と優雅さを身につけており、一方で夢追い人だった祖父の話に同調し、少年のような瞳で愛機と夢について語るその多彩な表情は、リルムから警戒心を奪った。ギャンブラー特有の価値観なのか、必要以上にリルムを子供扱いすることもなく、それでいて必要なところでは黙って手を貸してくれる。リルムにとってセッツァーは、色んな色彩を見せてくれる存在だった。
世界を救う最終決戦の前に、ストラゴス共々サマサの村に送り届けてもらっている道中、飛空艇の舵を取りながらいつものように空を見つめるセッツァーに、何の脈絡もなく何かが膨らんで、それが言葉として口から漏れた。セッツァーは一瞬目を丸くして、その後「ああ、ありがとうよ」と笑った。
それが最初で、リルムは恋というものを知った。
大人の駆け引きとかそういうものはわからない。リルムにできるのは、ただ自分の想いを告げることだけだった。それにはとてつもない勇気が必要であったが、ケフカや三闘神と戦うよりは楽なことに思えた。勢いのままに行動して、自分の想いを余すところなくセッツァーにはぶつけてきたが、セッツァーが靡く気配はない。成長してきた胸を強調してみても、抱きついても、キスをしても、「十年早え」の一言だけでセッツァーは身を離してしまう。そんな簡単なものではないと理解していたつもりではあるが、このままで良いのだろうかという思いが膨らんできた。カジノの気に入らない客はどうあっても叩き出すセッツァーが、何だかんだと言いつつリルムのことを追い出そうとしないことと、時折自分を見つめてくるその視線に何かが込められているような気がするのは、自惚れでなければそういうことなのだろうかとも思う。
「ティナはしあわせなんだね」
「リルムはそうじゃない?」
「……わかんない、かな。セッツァーと一緒にいられるのは嬉しいけど」
「それだけじゃ、足りないのね」
「うん……。でも、何が足りないのかわかんない」
セッツァーとどうなりたいのか、と問われると何となく答えに窮してしまう。数年前にエドガーとティナの結婚式に参列したとき、セッツァーとこうなる自分を想像してみるも、あまりピンとこなかった。そもそもセッツァーは、エドガーのような紳士ではない。セッツァーが愛を囁くところなど、らしくないと感じる。カジノで引っかけた綺麗な女性と夜の街に消えていく彼を見送りながら、あの女性と入れ替わりたいとも思えなかった。
もう少し大人になればわかるのだろうかとその時は思ったが、18歳の誕生日を目前に控えてもあまりよくわからないままだ。世界中を見て回ってきても、世の中にはわからないことばかりだ。あの戦いのときのティナやセリスは、もっと色んなことをわかっているように見えたというのに。
「リルム、サマサに帰った方がいいのかな」
ティーカップの温かさが何だかやけに沁みる。
わからないことばかりとはいえ、リルムはもうあの頃のような勢い任せだけの子供ではない。自分の想いをぶつければぶつけるほど、セッツァーが困惑しているのが伝わってくるようで、それは本意ではないと思った。嫌われる前に距離を置くべきなのかもしれない、という考えがリルムの思考を支配していく。
「どうして? セッツァーが嫌いになったの?」
「そんなことないよ。一緒にいればいるほど、リルムは好きになるけど、セッツァーは……困ってる」
「困ってる……」
ティナが不思議そうな顔をしているのが、少しだけちくりと刺さる。
リルムが見る限り、エドガーは最初からティナのことを想っていた。一方のティナはその特殊な出自ゆえか「愛する心」というものがよくわからず、それで随分と思い悩んでいたらしい。世界が滅び行こうとしていく中で、ついにそれを見つけた彼女は同時に自分を常に優しく包んでくれる存在に気がつき、晴れてふたりは結ばれた。
まるでおとぎ話だ。リルムとは、スタートラインから違う。
「私もね、リルム」
ティナがティーカップを静かに置く。
「エドガーを随分困らせたみたいなの。エドガーは王様だから、色々と難しいことを考えていたし、私は戦う力すら失っていたでしょう? あの戦いが終われば、幻獣の血を引く私はどうなるかわからなかったし。だから、一緒に来てくれって言えなくて随分困ったみたい。結婚するまでも、やっぱり同じように困ってたわ」
「でも、エドガーはティナのこと好きだから、言えなくて困ってたんでしょ」
「セッツァーも同じではないの?」
「え……」
「セッツァーは、リルムのことをとても大切に想っていると私は感じるわ。大切だから、どう接していいかわからなくて困ってしまうのよ」
エドガーはそう言っていたわ、と付け加えてティナがふんわり微笑んだ。ほんのりと染まった頬がとても綺麗で、エドガーが少し羨ましい。
「セッツァー、迷惑で困ってるんじゃないの?」
「迷惑で困っているなら、セッツァーは今頃リルムを追い出しているはずよ」
「仲間だからできないんじゃない? セッツァーはああ見えて優しいもん」
「そうね、セッツァーはとても優しいわ。でも、必要のない相手にまで不必要に優しくするような人じゃないでしょう」
それはわかるような気がする。裏を返せば、リルムが何となく吹っ切れないでいるのはその一点に尽きる。いっそこっぴどく振ってくれれば、まだ諦めもつくだろうに、セッツァーはそうせずに躱すだけだ。土俵にすら立たせてもらえないというのは、わかっていても時々辛くなる。
「うん、そうだね。でも、困らせたいわけじゃないんだよ」
「大丈夫よ。私もエドガーを困らせたいわけではないけど沢山困らせてしまったわ。私も、沢山困ったの。でも、どれだけ困っても一緒にいたいとエドガーは言ってくれたし、私もそう思った。セッツァーも、きっと沢山困っているだろうけど、それでもリルムと一緒にいるのよ。それが彼の答えなのよ。自分でわかっていないだけなんだと思うわ」
それに、とティナが付け足す。
「エドガーがね、今日こそははっきりさせてやると息巻いていたから。もう充分だろう、って」
「ふうん……?」
ティナの言葉に、到着するや否や「さあ、レディ達は積もる話もあるだろう? あまり本意ではないが私はこの男と過ごすことにするよ」と、やたらにこやかにセッツァーを連れ去っていくエドガーの姿を思い出して、少し笑いがこみ上げた。
エドガーが何をはっきりさせるつもりなのか、セッツァーと何を話しているのかはわからないが、リルムの心は少しだけ軽くなった気がした。
「答え、出るのかな」
「いつかは出さなきゃならないものだから。リルムがこんなに真剣なのに、セッツァーってば。私もちょっと怒りたいくらいだわ」
「ティナが怒ると怖いよ。あの時も西の山で怒ったの、すっごい怖かったもんね」
「もう、あれはリルムがそうしてほしいって言ったんでしょ!」
「えへへ、そうでした。……ありがと、聞いてくれて」
「聞くことしかできなくてごめんなさい。でも、私から見て、セッツァーがリルムを見る目はとても優しいと思うわ。少なくとも、エドガー達に向けているものとは少し違うと思う」
「だといいな」
少し冷めたお茶で喉を潤す。
セッツァーのことは好きだ。それは変わらない。しかし、無闇に自分の気持ちをぶつけるだけではきっと何も変わらないままだとも感じる。何かが変わってほしい思いと、変わらないでほしい思いがせめぎ合うが、年月は否応なしに変わることを求めてくる。そこはセッツァーも同じなのかもしれない。
そこで、ドアがノックされた。返事をしてドアを開けると、来たときと変わらずにこやかな笑顔のフィガロ国王がそこにいた。
「レディ達、失礼するよ。そろそろ城に戻ろうと思うのだがいいかね」
「わかったわ、エドガー」
「あ、片付けはリルムがするからいいよ」
「だめよ。私もするわ。エドガー、少し待っていてね」
「もちろんいいとも……と言いたいところだが、リルムには出てきてほしいな。酔っ払いの相手は疲れるのでね」
「まあ、どれだけ飲ませたの」
「一本だけさ」
「そこは色男が責任取るべきだと思うなー。ごめんねティナ」
「いいのよ。しょうがない王様は私がうんとお説教しておくわ」
ふわりと微笑むティナと、肩をすくめるエドガーに手を振って、リルムはカジノホールへと歩き出した。酔いざましの水も、忘れずに。